もう連作の更新頻度については触れません。
前回までのあらすじ
・音大生時代、ウィーンに短期留学
・成田→ウィーン フライト時間約11時間
・可も無く不可も無い機内食
・ウィーン到着
・寮母のわけわからん飯に困惑
・街に出て読めないメニューで賭けに出る
・K君の顎を火炙り(髭剃り)
最近読者になったよーって方
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滞在して1週間が過ぎた頃…
そろそろ日本の味が恋しくなります。
日本米、味噌、寿司、天ぷら、ラーメン……
無意識に体が欲するんでしょうね。
夢の中にまで出てきましたから。
僕には日本人の血が脈々と受け継がれているんだなと感じます。
ある晩の事です。
同じピアノ科のYが1人で帰ってきました。
普段ひょうきんな彼なのですが、珍しく落ち込んでいる模様。
なんだなんだ物取りにでもあったか?とか心配すると
「カジノで持ってきた金の8割溶かした。マジで」
普段から色々な遊びが激しいY。
ウィーンに留学している友達がいて、一緒にカジノに行ってきたそうです。
慣れないことはするもんじゃあないですね。
Yは残りまだ半分くらいあるウィーン短期留学の食費やら雑費を周りの友人に借りながら生活する事になります。
そんなYが散財の旅に出発した頃、健全な僕らは『日本食が食べたい!』となりウィーンの日本食店を検索。
髭剃りを忘れたK君の髭をライターで炙ったりしておいて健全もクソもないのですが、財布の紐は堅い組です。
前回と同じく仲の良い管楽器の友人TとKと、それに加えて巨漢のKo先輩も一緒に行くことになりました。
さすがに学生の僕らにとって、日本人が現地で開いている日本料理屋の値段は手が届きません。
しかし、どうしても日本食が食べたい僕ら。
妥協に妥協を重ねて更にその妥協を妥協で包み込んで妥協という油で揚げたっていうくらいしつこい妥協を経て選んだ店がこちら!
↓↓
もうね、見るからに地雷臭が半端ないんですよ。
まず、事前のリサーチでレビューが最悪だったんですよね。
『これは日本食ではない』
『中国人や東南アジア人を置いているアジア料理店』
『日本食らしきなにか』
地雷臭っていうか、もう地雷原の中に侵攻していくっていう所存でございますよ。
でも「話題作りとしては良いかな」とか「言うてそこまで酷くないやろ」って軽い気持ちでいたんですね。
ドアを開けて4人が入店すると、
「イラシャイワセ~!⤴⤴」
ちょっとだけ、僕らが存在する世界とズレがあるパラレルワールドで話されているような微妙に聞いたことのない日本語らしき言語で出迎えられました。
従業員の名札を見てみると『Wang』や『Chen』だらけ。
『Wang』と『Chen』だけで簡単にフルハウス作れるやんってくらい中国人しかいませんでした。
その頃Yはきっとフルハウスどころかワンペアすら作れなかったんでしょうけどね。
メニューを見てみると、『Sushi』『Ramen』『Tempura』といった、外国人が日本食と言えばこれ!みたいな代表的なのが書いてあります。
まあ、一応それに準じたものが出てくるのかなと僕は『Ramen』を注文します。
そして出てきたのがこちら。
↓↓
まず盛り付けが不味そう。
具は、パクチーだの海苔だのネギだのタコだのきゅうりだの。
とりあえずアジアっぽい具材をテキトーに麺の上に乗せて出せば良いよねってやっつけ仕事感満載。
これではラーメンに対するどころかアジア料理に対する冒涜ですよ。
さすがに従業員の中国人もこれには違和感を抱くだろうに。
こうやって間違ったアジア観がヨーロッパに蔓延っているんでしょうね。
友人達もここで『Sushi』なんか頼んで、刺身を食べて腹壊したくないって事で皆『Ramen』を頼んでいました。
1番、無難だと思ったんですね。
この時までは…
さてお味ですが…
まずスープが何とも表現できない味。
見た目は辛うじて醤油っぽいですが、醤油でも塩でも味噌でも豚骨でもないなにか。
強いて言えば、なんかの煮汁みたいな。
そこに安っぽい麺とアジア風具材。
こんなのが美味いわけありません。
普通美味しいものを食べたら自ずと笑顔になるじゃないですか。
この時の食事においては、誰もが笑顔にならなかった。
親戚の葬式で、久しぶりに会った人たちと故人を偲ぶ食事会みたいになってた。
まだ写真の横に写っているキッコーマンの醤油をそのまま舐めてる方が美味しかった。
っていうかもうそれだけでいい。
僕もTもKも半分くらい食べたところで、残します。
いやホント日本なら、多少口に合わなくても責任を持って最後まで食べるんですよ。
出されたものを残すなんて春菊が出てこない限りあり得ない。
でもここは治外法権です。
無理。
このまま『Ramen』下げてもらうのもさすがになんだか申し訳ないなって事で…
こうなった場合を想定して連れてきた巨漢のKo先輩です。
「いらないんなら俺が食べちゃうけど?」
彼は自分の『Ramen』一杯では空腹を満たす事ができず、僕らが残したものを食べると言い出しました。
皆は快く提供します。
「慣れれば案外この不味さいける」
食においてそういう『慣れ』が必要なのかはともかくとして、Ko先輩全員分完食。
バキュームカーの如く皆の残飯を吸い上げました。
その後、寮に帰って口直し
日本から持ってきたパックご飯と、インスタント味噌汁。
結局ですね、こういうので良いんですよ。
慣れない異国の地で変に冒険しちゃあいけません。
こういうのが1番美味しい。
とは言いつつ、毎食パンだのスープだのソーセージだけだとすぐに飽きが来てしまいます。
後日、Akakikoの反省を生かしつつもう少しランクが上な日本料理屋(自称)を渡り歩きました。
Akakikoではコロナ禍でもないのに黙食となってしまった我々でしたが、他の店では多少の笑顔が出ました。
ただその笑顔も料理が美味しいからという理由で出た笑顔ではなく、限りなく苦笑いに近い笑顔だったわけですが。
ちなみに、日本人の店員は1人も見かけた事はありませんでした。
↑↑
こちら『Tempura rice bowl』
天丼ですね。エビしかないけど。
しかもちょっと大きめな甘エビくらいの大きさしかないエビ。
長く見えますけど、大分衣で誤魔化しています。
そして天丼のタレなんですが、これ照り焼きソースなんですよね。
それに下はタイ米と来たもんだから絶望的に合わない。
でも、これでもAkakikoよりマシ。
隣の白い飲み物は『CALPICO(カルピコ)』という乳酸菌飲料。
これはあの有名な『CALPIS(カルピス)』の紛い物というわけではなくて、カルピスの海外名称なんだそうです。
通りで馴染みのある味だと思った。
そして、最も驚いた日本食(自称)がこちら↓↓
駅前の移民がやっているような安い屋台で買ってきたんですが、これなんだと思います?
正解は
『Japanese Yakisova』
なんやねんsovaって。
蕎麦発音するのに唇噛んだ事なんてないわ。っとツッコミたくなる表記です。
ソースがかかっていますが、ソースと言ってもお馴染みのものではなく、まさかの『チリソース』
甘辛ソースが絡んだ麺に申し訳程度の野菜が入っています。
日本ではこんな焼きそう゛ぁ、お目にかかった事がありません。
ここの店員さん、凄く陽気な人で僕の拙いドイツ語でも多少コミュニケーション取ることが出来ました。
店員さんもスラブ系の移民でドイツ語は上手ではなかったんですけど、だからこそ簡単な単語を駆使してわかりやすかったんだと思います。
最初はアジア人って括りでしかめっ面で対応されたんですけど、僕が日本人だよって事を伝えるとなんか1€くらいまけてくれました。
さらに話を聞いてみると
「Chinese!Schlecht!Schlecht!」
どうやら中国人のマナーが悪くて嫌いだそうです。
店の前に提供した食べ物のゴミを捨てたり、よくある観光地中国人あるあるを話してくれました。
僕もその日、ウィーン市街でベンチの上に立って大勢で自撮りをする中国人団体客を見ていたので同意してしまいました。
本当は中国人だからって理由で一括りにしてしまうのは良くないんですけど、やっぱり「あれ日本人じゃ絶対やらんよなー」という光景を実際見てしまうとどうしてもね…
まあ近年は、日本人もモラルが下がってきてると言いますし何処にいっても羽目を外さないようにはしていきたいなと思っているわけですが。
それでは、エセ日本食関連の写真が底をついたので今回はここまで。
次回は欧州見聞録 オーストリア ウィーン(食事編)最終回。
大衆居酒屋で、1番美味しかった食事が遂に登場します。
そして感動のシュテファンさんとのお別れ。
また見て頂けると嬉しいです。
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