Piakanaの日記

音大ピアノ科卒。クラシック、ポップス、ジャズさまざま弾いています。音楽の事、日常の事など不定期投稿していきます。YouTubeに動画投稿していますのでリンク欄からご覧下さい。

処刑道具は針の先

「予約番号130の方。こちらへ」

 

 

この日の130という数字は忌み数だった。

 

 

日本でいう死を連想させる『4』。苦しみの『9

アパートやマンション等で○○4号室が存在しない、車のナンバープレートに『42』が存在しない等、欠番扱いがされているところを鑑みると、それらは迷信の範疇を超えて社会に浸透しているのかもしれない。

 

意外と『3』も『惨』を連想させる事から避けられる傾向にあるという。

旧日本海軍の潜水艦『伊号三十三潜水艦』は、戦時中に修理事故により沈没。

その時に乗員33名が戦死。沈没地点の深度は33m。

以後、海軍内では『3』の付く艦が忌み嫌われたという。

伊号第三十三潜水艦。Wikipediaより。



西洋でも同じような数字に関する迷信は存在する。

神話的、宗教的な観点から『666』や『13』が忌み数だという事は広く知られている。

666』は新約聖書の中で獣の数字、つまりサタン(悪魔)と契約を交わした人間の数字とされており忌み嫌われている。

13』も聖書の中で、イエス・キリストを裏切ったユダはイエス13番目の弟子、そして彼が最後の晩餐で13番目の席についていた事から現代でも避けられている。

例えば、建物でも13階は表記しないようにする、パーティーや会合の席で参加人数が13人にならないように調整する等の習慣がある。

更にイエスが処刑されたのが金曜日という事がセットになり13日の金曜日が欧米では不吉な日の象徴とされている。

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『最後の晩餐』

その他にも調べてみると各国に忌み数というものは存在し、それは人々から敬遠されているのだ。

 

しかし、こういうものはあくまでも『迷信』である。

『迷信』であるが故、この数は必ず避けなければいけないという絶対的な拘束力はない。

言語や文化、地域によって同じ数字でもそのジンクスが全く異なることから、気にしないという人もいるのではないだろうか。

日本での『4』は死を連想させると書いたが、キリスト教圏において『4』はラッキーナンバー。『4』は十字架を連想させるから、イエス福音書4つある事から等が理由である。

 

僕自身、そんなに験を担ぐタイプではないので、いちいちその日のメニューに『4』があるかないかなんて気にしない。13日の金曜日も同様だ。

それらの数字があろうがなかろうが、良い事も悪い事も起こりえる。

この数字がつくから絶対に悪い事が起きるなんて有り得ないと思っているからだ。

 

 

って、思ってたわけじゃん?そんな事ないよね。

 

 

いやね、長々と数字に関するジンクスを書いてみましたが、冒頭にもう一度目を向けてみましょう。

「予約番号130の方。こちらにお入りください」

何があったかって聞いてくださいよ。

先日、手術&入院するにあたっての術前検査っていうのを半日かけてやってきたんですよ。

何故病院の世話になっているのかは過去に散々記載していますのでご覧ください。

piakana.hatenablog.com

概略を書くと

・尿管結石常習者(3か月に1度くらいの痛み&排石)

・年1くらいでクリニック受診

・さすがに頻度やばくね?と大病院紹介

・大病院受診&緊急手術(腎不全一歩手前)

・膀胱から腎臓にかけて医療器具入れたまま自宅療養←

・入院&手術(第1ラウンド)

・退院

・膀胱から腎臓にかけて医療器具入れたまま自宅療養

・入院&手術(第2ラウンド)

・退院

・外来処置

 

両親の協力と、妻も付き添いで病院に来てくれて9時頃に病院に到着。

この時点で僕は採血の為の注射に怯えてテンション激下がり。

【ぴあかな注射恐怖問題】

以前のブログにも書いているんですが、ダメなんですよ僕。

ファイザーワクチンを打つ時も、親知らずで局部麻酔をする時も、前日から元気なくなりますからね。

この日も、術前検査で採血をするというのは事前に知っていたので、例に漏れず前日からドキドキ。

音大時代の実技試験前日並みに緊張しますねマジで。

 

病院に到着して、診察券を受付機に通し一枚の用紙が発行されます。

【本日の予約番号:130

これが今日の僕の管理番号です。

いやもう管理番号というか囚人番号。

この番号が呼ばれる時、検査室で採血という処置が施されるのだ。

処置というかもはや処刑。

今から僕の名前は130

囚人は名前という高貴なものでは呼ばれないのだ。

 

その日は午前だけで、採血、心電図、肺活量、CT撮影、レントゲン撮影、担当医診察、薬剤師面談、麻酔科医面談、看護師面談、入退院センター面談を受けるという超過密スケジュール。

その過密スケの先陣を切ったのが採血でした。

待ってる間、手持無沙汰状態だと130はうるさくなるので、その間に妻と看護師面談で提出する入院問診票とやらを書く事に。

病院は入院患者情報として保管しておきたいんでしょうね。

 

『アレルギーはありますか』『今まで服用した薬で気分が悪くなったことはありますか』『信仰している宗教はありますか(輸血はOKですか)』といった良くある質問ですね。特にないのでさっさと飛ばしていきます。

 

次に性格の自己分析みたいなチェック欄もありまして、

『□積極的□消極的□感情的□外交的□内向的□依存性』

なんて選択肢がありました。

僕は迷わず『消極的・内向的・依存性』にチェック。陰キャですっ☆彡

 

その次に日常生活で起こる行動というチェック欄

「そんな事書く??」と思い選択肢を見てみると

『□幻覚□幻聴□徘徊□大声□暴言□暴力□独言』

自分では分かり兼ねる部分があるので隣にいた妻に相談。

「あーねー僕家で独り言多いよね?あと声でかいってよく言われるよね。」

とか言ってたら

「…それ認知機能が低い人用の質問欄……」とボソッとつっこまれました。

危うく認知症の欄にマジレスするとこだった。恥ずかしい。

 

書類もすべて書き終わり、気を紛らわせるものがまたなくなってそわそわ。

徐々に呼ばれる数字が130に近くなってきて、その度に心臓の鼓動が早くなります。

忌み数ですよ。

しかもこの忌み数はジンクスなんかではなく、確実に苦痛が訪れる正真正銘の悪魔の番号です。

いやこんな状態で心電図測っても絶対正確な数字出ないだろ、異常な数値出て違う科に回されるんじゃないだろうなとか考えてたら

「予約番号130の方。こちらにお入りください」

きました。

断頭台へのいざないです。

130は妻に別れを告げ、検査室に入ります。

 

死刑執行人が僕の目の前に座ります。

 

「右腕でよろしいですか?」

 

「あ、はい(悟り)」

 

「軽く握ってください」

 

「あ、はい(悟り)」

 

「アルコール消毒は大丈夫ですか?」

 

「あ、はい(悟り)」

 

「そしたら親指を入れて右手を軽く握ってください」

 

「あ、はい(悟り)」

 

「今回は四本採血していきます。」

 

「あ、はい(悟り)」

 

「はいそれじゃちょっとちくっとしますね」

 

「………ぅ゛(悟り)」

 

「もう右手あけていいですよ」

 

「……(放心)」

 

「あの?右手もう開いていいですよ」

 

「………ぅ゛(蘇生)」

 

「はいおわりました。次の検査があるので出たところで待っていてください」

 

「……ぁぃしゅ(ありがとうございました)」

 

書いてる自分でも情けなくなる程、僕は注射を目の前にすると無力です。

そのくせ人があまりかからない病気に罹るので、年齢の割に注射経験が多い。

それなのにいつまでたっても慣れない。

これだけ医療が進歩しているというのに、注射という古典的な処置方法は全く進歩していない。

痛くない針とか、指定した量だけの血液を異空間を経由して採血する方法とか早く確立されねーかな。

 

この日の痛みを伴う検査はもう終わりました。

もうこの時点で過密スケジュールの90%は終了したも同然のウキウキ気分で妻の元へ戻ると

「ニコニコっていうか、ニヤニヤしてる。」と言われましたが、気にしません。

峠は越えたのですから。

明らかに130の態度と表情は一変してニコニコです。

 

その後は他の検査もして、診察。

第2ラウンドの入院&手術の日程等も決めていきます。

担当医や看護師から「何か質問はありますか?」の問いに、付き添いで来た妻は日程や面談の事を尋ねていくのに対して、130は全て「これは痛いですか?」「この時は痛いですよね?」「これってどれくらい痛いですか?」と全て痛いですか系の質問をしていくあたり、弱気な一面が垣間見れます。

 

次は、薬剤師面談。

ここでも、『アレルギーはありますか』『今まで服用した薬で気分が悪くなったことはありますか』と先ほどアンケートに書いたものと同じような質問に答えていきます。

その次の、看護師面談でもアンケートに加え再度同じような質問をされます。

一度答えたものを何度も答えるのは結構めんどくさくて、どっかで情報共有しとけよとか思うんですけど、病院側からしたら各方面で確認したって事実が欲しいと思うのでここは我慢します。

やっぱり入院って手続きめんどくさい。

 

次は、麻酔科医と麻酔科看護師の面談。

全身麻酔するわけですからね。

ここでも同じような質問をされ、なんかタブレットで動画付きの説明なんかも見させられます。

全身麻酔はどうやら腕に刺した点滴から麻酔薬を注入していくやり方だそうです。

できれば針を刺す前に意識を飛ばしておきたいところですが、そういえば3年位前にした手術の時もそうだったな。

動画を見てると、場合によっては麻酔の注射を背中にするという拷問イラストが現れました。

無理ですそんなの。

頭がおかしいとしか思えません。

もうこんなの見せられたらそれより後ろの動画なんて頭に入りません。

動画の視聴が終わり、タブレットを回収しに来た看護師に「なにかご質問はありますか?」と聞かれ食い気味に「背中に刺すんですか?痛そう」と尋ねます。

「この後の担当看護師に確認しておきますね」と言って彼女は裏に戻ります。

「痛いばっかり質問しないの」と妻に言われますが、痛い事されるのは130本人なのだから積極的に聞いていくしかありません。

さっきアンケートに消極的って書いたばっかりなのに。

 

そして麻酔科の看護師が来てまた面談が始まります。若いお姉ちゃんです。

これが最後の面談だ。

早く終わりたいな。帰りたいな。

 

看「いくつかご質問させていただきますね。」

 

130「よろしくおねがいします。」

 

看「先程の者から、麻酔を背中にするのが不安そうって伺ったのですが」

 

130「そうです。痛そうなんで…」

 

看「最終的な判断は先生ですが、恐らくぴあかなさんの場合は一般的な点滴からの麻酔薬注入になると思いますよ」

 

130「ふううっぅぅぅ~~~よかったぁぁぁ」

 

麻酔科面談っていうより小児科面談だなこれ。

お恥ずかしいですねホント。

 

看「一応確認なんですけど、お体にタトゥーは入ってないですか?」

 

130「はい、ありません。」

 

看「食べ物でアレルギー反応が出るものはありますか?」

 

130「大丈夫です。」

 

看「お肌がガサガサしたりはないですか?」

 

130「あーなんか最近乾燥肌かなんかわかんないんですけど、ふろ上がりに顔がひりひりするんですよ。」

 

看「ああ…そうですか!…そうですよね冬ですからね。」

 

妻「……(笑)(…たぶんそういう意図の質問じゃない…)」

 

看「おなかが張ってたりとかあります?」

 

130「張ったっていうか…出てきた?って感じですかね?」

 

妻「…いやたぶん便秘とかの事。太ったとかって話じゃない。」

 

看「……(笑)  お体に傷とかあったりしますか?」

 

130「こないだ朝起きたら左肩に引っかき傷あってめちゃくちゃひりひりしたんですよ。なんか寝てる間に掻き毟っちゃってるみたいで」

 

看「……ッ!(笑)」

 

妻「……ッッ!(笑)」

 

看「大丈夫そうですね?(笑)」

 

130「痕残ってますけど、まあ」

 

妻「…っ(笑)」

 

あのですね。

別に130はふざけてるとかウケ狙ってやろうとかそんな事は一切考えていないですよ。

聞かれた質問に対して大真面目に返答しているだけなんですね。

 

帰りの車内で妻に

「笑いを堪えるのに必死だった。」

なんか勝手に年末のガキ使笑ってはいけないが始まったような雰囲気になってたそうです。

 

まもなく入院&手術の第1ラウンドが始まります。

一連の治療が終わるのは1月の半ばになるでしょうか。

その間は要所要所で痛い思いをするかと思います。

まあ腎不全になるよりはマシだと思うしかないか。

こわいやら痛いやらで嫌だMax状態なんですが頑張りたいと思います。

 

 

脇腹が痛くなってきたので終わりっっ!!