Piakanaの日記

音大ピアノ科卒。クラシック、ポップス、ジャズさまざま弾いています。音楽の事、日常の事など不定期投稿していきます。YouTubeに動画投稿していますのでリンク欄からご覧下さい。

失敗を考える

出勤する朝、寝坊して慌てて家を出ました。

あと5分だけ寝る…をご好評につき3回リピートした結果です。
その日は普段カバンに入れる財布をテーブルの上に置いたままでした。
お魚咥えたどら猫をはだしで追っかけないまでも、財布を忘れるという失態を通して何度かサザエさんにシンパシーを感じています。でも全然ルルルルルーな気分じゃない。雨だし。
駅で財布を忘れたことに気づいてももう戻れません。
普段職場で財布なんて殆ど出さないんですが、やっぱり無ければ無いで何かそわそわするものです。
もしかしたら道中、具合の悪い御婦人を見つけタクシーを拾い「大丈夫です!タクシー代は私が払います!気にしないでください!」「そんな悪いわ…せめて連絡先だけでも。後日御礼をさせてください…」とやり取りをした数日後に御婦人から連絡があり、実は彼女は超王手企業の社長夫人。主人共々御礼がしたいから是非我が家へ招待したいとのこと。そしてあれよあれよと言う間に話は進みなんと財産までっ!……といったアメリカンドリームも財布を忘れたことにより掴み損ねるかもしれません。
まあ実際はそんなことなんて起こるはずもなく、それどころかこういう日に限って「今年度で退職する○○さんへのお花代500円を徴収します。本日中に□□迄にお渡し下さい。」とかいう呪いの手紙みたいな紙が回ってくるんですよね。誰やねん○○って。話したこともないがな。こっちは昼飯も食わずにカバンの底から発掘されたなけなしの150円でお茶買って空腹を凌いでるっていうのに。とはいえ社会人の端くれなので払わないわけにはいきません。こいつ踏み倒すつもりだろと思われるのも嫌なので恥ずかしながら支払い延期を申し入れました。
出勤前に財布をカバンに入れる、このひとつのルーティン化された生活習慣を忘れたことにより、その日は空腹と500円も払えないという羞恥心に苛まれたのです。
そんなことも人間誰しもが起こす小さいミスのひとつです。

どの程度の頻度までが許容されるかは抜きにして、多かれ少なかれ人間はミスをします。

ピアノの本番においてもミスは結構するもので、特にミスタッチは避けて通れません。

どんなに一流といわれるピアニストでもLIVE音源なんかでは結構やらかしています。また取り直し技術が発達していなかった昔の録音でも結構起きていることです。

発表会や試験でミスタッチをすることを中学~高校生くらいのぴあかなは恐れていました。ミスタッチのない演奏こそ完璧で質の高い音楽だと思っていたんですね。

確かにミスタッチが0に近いに越したことはないんですけど、そこだけにフォーカスを合わせすぎた結果、音楽性やら曲全体の構造理解がおざなりに…結局本番では緊張のあまりミスタッチを連発して本末転倒といった辛酸を嘗めた経験もあります。

その考えが変わったのが音大時代の恩師の教えでした。

「誰だってミスタッチはするものなのだからそんなとこ一々気にしてないで、寧ろそんなこと気にならないくらいに没頭して弾ける全体を作り上げなさい」とよく言われました。そのあたりからただ課題曲を作業的に弾くといったスタンスから音楽への向き合い方が変わっていったんだと思います。良い意味で気を抜いてピアノを弾くことができるようになりました。月並みな言葉ですがリラックスして弾くことが重要です。

程よい緊張感を持ちながらも「はい?あ、さっきそこ間違えましたけど?」くらいの気持ちで構えるのが一番音楽を楽しめるのではないのでしょうか。

 

そのスタンスを過信してレッスンに臨み「先週と同じ。ここ弾けてない。試験近いのに気抜きすぎ」と恩師。

塩梅は大切。