ちょっとクラシック音楽に詳しい方なら
「ああ、ぴあかなさん遂にこんな事に手を出してしまったのね」
と思われるかもしれませんが、ひとまずは動画をご覧下さい。
如何だったでしょうか。
「無駄な時間過ごした!時間返せ!」
「アホかお前!こんなん誰でも出来るわ!」
とか言わないでくださいね。
でも多分ね、動画をフルで見た人、1回も早送りやスキップをしなかった人、いないんじゃないんですか。
この曲はアメリカの作曲家、ジョン・ケージ(1912~1992)が作曲した曲です。
なんとこの曲、4分33秒という演奏時間が設定されているだけで作曲者からの音を出す指示は何一つありません。
「え?じゃあ何?それって曲ちゃうやん。っていうか音楽ちゃうやん」って思われる方もいるかもしれませんが、「別に楽器から出てくる音だけが音楽やないんやで」っていうのがケージの見解。
例えば、演奏会場に於いてこの曲を演奏するとします。
すると楽器の無音は続くわけですが、会場内の空調の音だったり、観客の動く音や咳払いや「何してんねん」とか言うざわめき。
これら音全てをケージは偶然に出来た音楽、つまり偶発性の音楽とし、『演奏者の沈黙≠無音』であるという事を提唱したのでした。
正直、物は言いようってとこでしょうが彼の思想に沿って言うと、投稿した動画に入っている様々な雑音も音楽なのです。
っていうか何なら動画を見てくださっているあなたの周りの音もまた音楽なのです。
前衛音楽家ってクセがめちゃくちゃ強いですね。
『4分33秒』以外にも彼は興味深い作品を多く作っています。
例えば、『Organ²/ASLSP』というオルガン曲。
これは世界最長の演奏時間をもつ作品の1つとされており、今この時も演奏され続けています。
どういう事かというと、ドイツにあるハルバーシュタット大聖堂にあるオルガンを使って639年かけて1曲演奏しようというプロジェクトが今なお続いています。
2001年から始まったこの演奏の終了予定は2640年。
演奏は予定通り始まったのですが、この曲の最初は約1年半の休符なので実際にオルガンから音が出たのは2003年2月。
それからは1つの和音を数年単位で変えながら曲は進行しています。
7年ぶりに和音が変わったりするとBBCでちょっとニュースになるくらい。
音を楽しむというよりも、『発想を含めた音を楽しむ』というのであれば、ケージの事を色々調べてみたら面白いと思いますよ。
ちなみに今回の動画のピアノですが、鍵盤が見当たらないのは現在修理中だからです。
ピアノメンテについては別の機会に書いていきます。
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