Piakanaの日記

音大ピアノ科卒。クラシック、ポップス、ジャズさまざま弾いています。音楽の事、日常の事など不定期投稿していきます。YouTubeに動画投稿していますのでリンク欄からご覧下さい。

日帰り傷心旅行

『今から行っていい?』

 


密かに心を寄せるあの子から唐突にこんなLINEが来たら喜びのあまり有頂天になるでしょう。

音大生時代、ピアノの練習室で1人黙々と練習していた時です。
僕が密かに心を寄せるフルート科のサナから『今から行っていい?』とメールを受け取りました。

 

 


僕は当時、サナの実技試験の伴奏を引き受けていました。
その試験曲の伴奏譜を渡しに来てくれるそうです。
伴奏譜を受け取るだけのはずなのに、この文面にドキドキしましたね。


サナはわざわざ足を運んでくれて、僕は練習室の扉を開けます。
その場で渡せばいいだけのにサナは「おじゃましまーす」と部屋に入ってきました。
どうやら曲のカット部分があったりでその説明をしてくれるんだそうです。
ドキドキして半分くらいしか話が入ってきませんでしたね。
その後、楽譜の話が終わっても1時間くらいずっとダラダラと話してました。
音楽の事だったり恋愛の事だったり。

ここまで読めばあらあら若いっていいわねって話になるかと思いますが、掌を返すご準備を。
結構良い感じだったのですが、結局サナとの恋は実りませんでした。
サナは、その数ヶ月後に他の男とお付き合いを始めてしまいます。
敗因は幾つか考えられますが、致命的な点は僕に当時付き合っている彼女がいたという事でしょう。

ね。
掌が裏返ったでしょう。
あらあら若いっていいわね。

それでまあサナとの間には結構色々あったのでそれは他の機会に記事にするとして、実は一昨日、冒頭の『今から行っていい?』という思い出の文面が約12~3年ぶりに僕の携帯に届いたんですね。

 


男友達から。


しかも9:30に。


本当の9時半。


21時の方じゃなくて。


AMですよAM。

 


以前のどっかの記事で書いた近所に住む大学時代の友人Aです。
僕と妻と3人で夜ランニングに行ったりする仲の親友の1人。
徒歩10分程の距離に住んでいるので30代の交友距離感とは思えない程、ほぼ毎週頻繁に会っています。

最近は、僕が尿管結石で体調を崩して3ヶ月くらい会えていなかったんですが、取り敢えず僕の治療が一段落したので近々会おうってなっていたんですね。


そんな彼から唐突に朝『今から行っていい?』とLINEが来ます。
基本土日休みの彼から平日にそんなLINEが来るのはおかしい。
きっと何かがあったに違いない。
9時半という時間には驚きましたが、特に断る理由もないので招き入れました。

我が家に到着すると、3ヶ月ぶりに会ったにしては元気のないA。
「明けましておめでとう……」
普段元気なAですが、その口調から何か嫌な事があったに違いないというのは容易に想像できました。

話を聞くとどうやら、上司に4月からの唐突な異動を命じられた模様。
いずれは異動するのですが、少なくともあと2年は今の職場にいられると上司に約束されていたと言います。
Aの性格的に勤務態度に落ち度があるわけではなく、どうやら更に上の決定で理不尽な異動に振り回されてしまった模様。
その事で、上司とバチバチにぶつかってしまい気持ちが折れてしまったそうです。


Aは気分で仕事を休み家中ゴロゴロ這っている僕とは対照的でして、這ってでも職場に行くような仕事大好き人間。

欠勤どころか早退すらもした事ないような人間です。

Aは今の職場で残り2年を見据えた仕事プランもしっかり立てて真面目に働いていたようです。
その態度を見て上司や周りの職員もAを評価しており、職場の知名度を上げる業績にも多大な貢献をしていました。

なんかの専門誌の取材にも取り上げられていた程です。

しかし結局、上の決定にあと2年はAの地位を守れるはずの上司はAを守ってくれず、ハシゴを外してしまい態度も変わった事にAは酷く怒っていました。

一昨日は出勤して朝の業務を終えた後、もう一度上司に直談判しに行きましたが「もう決定は覆らない」の一点張りで、掌を返されたような冷たい対応をされたようです。

それでもう心が折れて、帰ってきてしまったとの事。
その状態で真っ先に転がり込んでくるのが我が家というのもどうかと思いますが((笑

一応、早退する事は周知してきたらしいのですが、あのAが早退するなんて異常事態だ!って事で同僚からは鬼電。
しかし、着信を無視してたら管理職がAの自宅に心配して足を運んできたようです。
Aさん線路に飛び込んだんじゃねーの?!と騒ぎになっていたようです。

そんな事も露知らず、Aは我が家に来て全てを吐き出し少し落ち着いた様子です。
普段の明るいAを知っているだけに、その表情からは物凄い落ち込み、そして怒りを露わにしているのが伝わってきました。

その日は、一緒に昼食にラーメンを食べに行き一旦解散して、夜また我が家に酒を飲みに来ました((笑
妻も心配してAを迎え入れてあげます。

 


「もう俺明日も休む!やってらんねえ!」



という事で、急遽、翌日金曜日に日帰り傷心旅行が決定しました。
妻は他の予定があったので、男2人旅です。
僕は色々奢ってもらえそうだったのでついて行く事にします。それにまだまだ体力が戻りきっていないのでリハビリがてら、良い運動になるかなと思いました。

目的地は熱海。


温泉に入って美味い飯を食うのが目的です。


彼とは、10年程前にも友人5人グループで熱海に行きました。
そういう思い出に浸りに行くのもいいかもねって事で熱海を選択。
車で片道約3時間くらいです。
日帰りにはちょうど良い。

翌朝9時半に出発。
今週は9時半に色々起こります。

平日なので首都高以外は凄くスムーズに流れていました。
東名に乗り、Aの愚痴を聞いたり他愛もない会話をしているとあっという間に海老名SAに到着。
朝食を取っていなかったので名物のメロンパンを購入します。


10年前、皆でここでこんな事したよねーとか懐かしい思い出話をしながら遅めの朝食を取ります。

海老名を後にし、伊豆半島に近づくと富士山が大きく見えるようになります。
雲一つない快晴で綺麗でした。


熱海に向かう途中、田方郡函南町の道の駅『十国峠』で休憩。

 

ここからの富士山は本当に絶景。

 

晴れてて良かったー。


写真を撮って後ろを見てみると、なんとケーブルカーがあるじゃないですか。
かっこいい。
これは乗るしかありません。

大人きっぷ1枚730円(往復分)

ケーブルカーなんて乗ったことあったかな…
あったとしても記憶の中にないぐらい昔の話だろうに。
狭い2人席を身長180cmの男2人がひしめき合って最後部座席を占拠して「ここは僕の席だ!」とか言ってるんです。
むさ苦しく見るに耐えないったらありゃしません。


登って行くケーブルカーは途中で降りてくるケーブルカーとすれ違います。
降りていくケーブルカーの最後部座席には若いカップルが。
こっちは30半ばのおっさんが2人最後部座席に座っています。
なんか目が合って笑われてます。
ムカついたんで手を振ったら彼女さんが笑顔で手を振り返してくれました。
はい、かわいい。

「いいなぁ…俺も結婚したい…っていうかまず彼女欲しい…おめーは既婚者だから良いけどよぉ…」

Aがぽつり。
傷心旅行に来てるはずのに傷を増やしてしまいました。

ごめんなさい。

どうせ大したケーブルカーじゃないから山頂に行ったところで大して景色変わらねーだろとか思ってたんですが、来た甲斐がありました。
富士山もよく見えるのですが、東側に相模湾を一望する事ができ、快晴だったので三浦半島、そして更にその奥には房総半島も望む事ができました。

山頂から見える富士山

東側には相模湾。奥には三浦半島、更に奥には房総半島がうっすら見えます。

 

来て良かった!
Aも同じ事を言っています。

昨日や今朝と比べて少し元気を取り戻してくれたようです。

Aのその姿を見られただけでも来た甲斐があったというものです。

嘘です。話盛りました。早く飯も奢って。



そろそろ帰りのケーブルカーに乗ろうかって流れになったんですが、Aが「なんか歩いて道の駅まで戻れそうじゃね?」と、病み上がりの僕に一切気を遣わないバカみたいな事を言い出すんですよ。

「いや、ケーブルカーのきっぷ往復分買ったやん。帰りも乗らな勿体無いで」と、僕が言ってもこの熱血男、一度火がつくともう後戻りがききません。

元気を取り戻したと思った途端すぐこれですよ。

「大丈夫!歩ける!お前のリハビリにもなる!」

気づいたら車1台通らない一応舗装はされてるけど何これみたいな、急な下り坂の峠道を降りていました。
つま先が痛え。足首が痛え。太ももが痛え。

「俺も痛くなった」とかアホなこと抜かしてます。
お前が痛いんだったら病み上がりの僕はどうなる。筋肉痛不可避です。

なんか思っていた以上に長く険しい峠道をおっさん2人が歩く。
山道の車道に出てから道の駅まで、あってないような歩道を2人のおっさんが歩く。
僕らが山道を車で走っている時に、2人のおっさんが山道の横っちょを歩いているのを見たら非常にシュールな光景だったと思います。
僕らが車に乗っている時、歩行者なんて1人もいなかったし。

少し汗もかき、ようやく車に戻ります。
往復分の切符を買ったのに、なんてアホな時間を過ごしたのだろう。
ここからは山道を下り熱海市内に向かいます。

今回、日帰り温泉で利用させてもらったのがこの『平鶴』という温泉宿。


ただの入浴だけなら大人1人1,100円という手頃な価格で露天風呂が楽しめます。
昼の入浴終了時間の割とギリギリで行ったので他の客は殆どいません。
ほぼ僕とAの貸切状態でした。
裸の状態で泌尿器科の手術の再現をしたりしてましたね。
とても良い湯でした。

上の写真の露天風呂に入りました。

その後は、かなり遅い昼食。
正直今回の付き添いで最も楽しみにしていたイベントです。
『平塚』の向かいにある『味くらべ』という海鮮料理屋さん。
店頭や店内に生け簀を置いてあり、これは新鮮な魚介類が期待できます。


多少値は張りますが、せっかく来たんですから少し贅沢しました。
海鮮丼にするか定食にするかめちゃくちゃ迷ったんですが、ちょっと控えめな桜エビと釜茹でシラス丼をチョイス。

我が家の周りでは食べられない新鮮な味を堪能できました。

Aは海鮮天丼を頼んだのですが、それに加えてこの店のイチオシである活きイカも注文。

2人で突っつく事にします。


別にイカってそんな好んで食べるものでもなかったんですが、ここのはレベルが違いました。
丸ごと一杯捌きたてのものを提供してくれます。
まだゲソ部分が動いてるっ!
醤油につけると更に激しく動きます。
口の中に入れると舌に吸盤がくっついて離れなくなるのが驚きましたね。
胴体や頭部も新鮮で歯応えがコリコリで美味しい。

 

このイカの刺身、一杯で1,900円くらいするのですがAに奢って頂きました。

その他、道中でも色々少し多めに払ってもらったりで、御礼をしてくれました。

 

帰りは来た道をそのまま戻り、妻へのお土産を買って19時前には帰宅。

「じゃあまた明日。」

30超えた大人が2日連続でする別れの挨拶じゃありませんね。

ええ、今日も夜にウォーキングにいきます。

 

僕としては、彼が異動するのは仕方が無いとして…

できれば今の家から引っ越しを必要としない範囲での異動を決めて欲しいな、というのが本心です。

昨日の車内で10回以上はそれ言ってましたね。

妻も言っていましたが、彼はもはや我が家の生活ルーティンの一部になっているので。

 

以上、日帰り傷心旅行の付き添い記録でした。

 

 

 

全然関係ない話なんですが、「最近ピアノの動画あげてないよね?」ってお声を頂きました。

どうもすみません。

いつも通り言い訳をさせてもらいますと、

ここ数年で最近1番ピアノを弾いているんですが、楽器の本格メンテをするつもりでいます。

手術した保険金が予想以上におりたので、ピアノをしっかりメンテをしてから再開させたいと考えております。

つまり僕の尿管結石でピアノが直せるわけです。

高音の音割れが酷いので、外付けマイクの購入も検討しています。

リアルやらTwitterやらで色々教えてくれる親切な方がいらっしゃったので参考にさせて頂いております。

ありがとうございます。

 

撮りだめしている分は近々出そうと思っていますが、新しいものはもう暫くお待ちくださいませ。