前回の続き!
第二次世界大戦で活躍したドイツ軍の小型軍用車両『Pkw.K1 キューベルワーゲン82型(アフリカ戦線仕様)』の製作過程の続きを書いていきたいと思います。
前回は、大部分の組み立てと車体の基本塗装が完了したところまで書きました。
設計図に従えばこの塗装で完成で良いのですが、よりリアルさを追求する為色々と工夫や処理をしていきたいと思います。
僕が模型製作で1番好きな作業工程です。
今回は、この新車同様の綺麗な車体が過酷な北アフリカ戦線で使い回された設定です。
強烈な砂塵が吹き荒れ、人より気候を相手に戦争をしているようだと言われていた戦場で、こんな工場から出たばかりのような綺麗な車があるわけありません。
車輌自体はアフリカで生産した物ではなく、ドイツで生産した物をアフリカ戦線に送っています。
生産された当初の車体色はXF-60ダークイエローではなく、XF-63ジャーマングレーです。
アフリカに到着してからジャーマングレーの上にダークイエローが塗装されました。
確かに遮蔽物も少ない広大な砂漠で灰色の車が動いていたら目立っちゃいますからね。
しかし、現地で行われた塗装というのは応急的で質の良いものではありません。
質の低いダークイエローの塗料やら、溶剤で溶いた砂等を塗りつけていたようです。
ですので、戦場で乱雑に使い回されたりアフリカ特有の強い日差しや砂嵐を浴びると、すぐに塗料が剥がれ落ちてベースのジャーマングレーが出てきてしまっていたようです。
ということで、ベースのジャーマングレーを車体に乗せていきましょう。
本来の塗装と順序が逆になってしまいますが、そこら辺の処理も後でしていきます。
このように、塗料の剥げた表現をする塗装技法を『チッピング』と言います。
新車感が無くなりましたね。
ちゃっかり予備タイヤもボンネットに乗せています。
しかし、僕の目にはまだまだわざとらしい塗装に見えてしまうんですね。
さっきも書きましたが、これではダークイエローの上にジャーマングレーが乗っかっている。本来の塗装の順序とは逆なのです。
ジャーマングレーonダークイエローではなくダークイエローonジャーマングレーに見せなければいけません。
とは言え、先に塗ってるのはダークイエローですからね。
ジャーマングレーの『後から乗せた感』を消すためにはどうしたら良いでしょうか。
答えは、全体の明度を下げて2つの色の発色を抑えて統一感を出してあげれば良いんです。
一度、全体を薄い黒で塗装して、濃くなり過ぎた部分は拭き取ります。
この時、塗料は今まで使用していたアクリル性の物からエナメル性の物に変更します。
この一連の塗装は『ウォッシング』と呼ばれる技法です。
全体の色を落ち着けたり、エナメル塗料が凹凸部分に流れ込み陰影を強調させます。
良い感じに落ち着いてきたでしょ。
次に車輌ナンバーや所属マークのシール(水転写デカール)貼っていきます。
それに加え、車体にサビ表現の塗装もしていきます。
後でまた色を抑えたりしていくので、この時点では少々大袈裟に塗料を乗せていきます。
そして、いよいよ最後の塗装です。
『ウェザリング(風化)』を施す事でよりリアリティを与えます。
これで完成!
土埃を全体にまぶすイメージです。
そして車体下部には跳ねた泥が固まった汚れも入れました。
フロントガラスもワイパーが動く部分だけ透明感を残し、それ以外は強めに汚しています。
車体後部には、他の模型の余り物のジェリ缶(燃料缶)をエナメル線で車体に括り付けているように置いています。
アフリカ戦線は移動距離が極めて長いので、外付けで予備燃料を載せておくことが多かったようです。危ね~。
こういった細かいアクセサリーを乗せていくところも楽しみの1つです。
まあまあ良い感じでまとまったんじゃないかと思います。
キューベルワーゲンを作っている裏で、フィギュアや余り物アクセサリーの塗装もしていました。
役者が揃いつつあります。
メインディッシュのキューベルワーゲンのビフォーアフターも載せておきます。
before 組立て+全体基本塗装完成時
after 全塗装完成時
さてさて、写真が多い記事になってしまいましたが如何だったでしょうか。
それなりに凝り性だと思うのですが。
プロからしたら鼻で笑われるようなクオリティだと思いますが、あくまで趣味の一環なので自分が楽しめる事をモットーに作っています。
黙々と無心になれるのも良いところですね。
次回は、このシリーズ最後になります。
模型製作歴と比べるとジオラマ歴は短いので更に稚拙な出来になるかと思いますが、やっていきたいと思います。
もう少し、このインドア陰キャにお付き合い下さいっ☆彡