毎度、ご高覧頂戴致しまして、誠に有り難う御座います。
8月12日に当ブログを立ち上げ約2ヶ月が経ちました。
開設当初は三日坊主で終わるだろう、9月の以降の記事は無いだろうと本人思っていました処、これがどういうわけか面白いもので御座いまして、今日まで続いている次第で御座います。
当ブログへのアクセス数、Twitterや実際に会った方からご感想等を頂戴致しまして、それらひとつひとつに目を通し、耳を傾けまた一記事また一記事と書いていきますと、気付いたら1つの節目を迎えておりました。
この1000への到達が遅いか早いかは、不定期更新故にこれっぽっちも気にして御座いません。
もう明日で急に店仕舞い、なんて事も有り得るかも知れませんが。
何はともあれ、皆様方のご観覧があってこそ、今はそれを励みに続ける事が出来ているわけで御座います。
コメント等頂けましたら更なる高みを目指していけるかと存じます。
これからも益々精進して参ります所存で御座いますので、ひとつどうぞ宜しくお願い申し上げます。
今回もアクセス1000記念という事では御座いますが、特に何をする事もなくいつも通り書いていきますが、次の目標と致しましては10倍の10000アクセスを目指していきたいと思っております。
いやー、ここから更に10倍。
更に長い道が続いていく事でしょうが、何処まで忍耐とやる気が続いていく事やら。
千から万に昇格するには、どれ程時間がかかるか、些かの見当も付きませんが、今日はこの『万』の字が出たという事で、『万国旗』にまつわる思い出話をひとつしていこうかなと思うのですが
「それでは、このA3の厚紙、折らないで帰って下さいね。休み明けに皆さんが描いてきてくれた国旗を回収します。」
「うわー今年も来たよ。これ時間かかるし手が疲れるから嫌なんだよなー」
「しかも今年は国の旗じゃないとだめなんだってー。あーあ」
またこの落語、講談風導入です。気に入ってるんですかね。これ。
いよいよ運動会が近くなってきた週末。
僕らの小学校では、毎年A3の厚紙両面に国旗を描いてくるという宿題が出ました。
低学年はピカチュウだのボンバーマンだのたまごっちだの好きなキャラクターを描いてきて良い事になってたんですが、3年生以降になると『国旗』にお題が制限されます。
何故こんなに面倒くさい宿題が出るのかというと、運動会を彩るための『万国旗』を皆で作りましょうという課題です。
校舎前のポールから校庭の端までワイヤーを何本も貼り、そこに一枚ずつ子ども達が描いてきた国旗を貼り付け垂らします。
視覚的に派手になりますし、いざ当日を迎えると「あ!あそこに俺の描いたのがある!お前のはどこ!?」なんてウォーリーを探せみたいな事が出来るのもひとつの楽しみになるんですけどね。
しかし、お絵かきも苦手、集中力も無い小学3年生のぴあかな君は、この国旗を描くのが面倒で面倒で仕方がありませんでした。
その後の、先生方の貼り付け作業等の大変さを考えたら屁でも無いでしょうけど。
2年生までは好きなキャラクターとか描いて、なんとか自分を誤魔化し提出していたものの、『国旗』というお題を提示されたら、それはもう重い腰が上がりません。
しかもどうも暗黙の了解で、日本の国旗はダメじゃ無いけど出来れば他が…みたいな空気があったので、尚更困ってしまいました。
これは、政治的な意味は無かったとしても、確かに日本の国旗OKにしてしまうと、描くのが簡単だから日の丸だらけになってしまい運動会というより、出征会やら学徒出陣壮行会やらみたいになってしまうので見栄え的な問題も考慮しての事だと思いますが。
アフリカあたりの国旗は単純かつ派手なの多いしね。
とにかく困ったぴあかな君。
とりあえず休み時間に学級文庫の地図帳を見てどんな国旗があるかを友達と確認してみます。
「ぼく、国旗よくわかんないけどたくさんあるんだね。簡単な国旗ならすぐ宿題終わって遊べるよね。ヒサは決めた?」地図帳を見ながらぴあかな君は隣の友達に聞きます。
皆からヒサと呼ばれていた隣の久松君は、絵が大の得意。
図工で描いた絵が、よく市や県の展覧会に出展される程の実力の持ち主です。
そんな彼に簡単に描けそうな国旗を選んでもらう事にしました。
「ぼくも国旗はよくわからないけど190個くらいあるんだね!よーし誰も描かない難しい国の国旗を描くぞ!『難しい国旗勝負』だぴあかな!」
聞いた相手が悪かったです。
勝手に意味わからん戦闘に巻き込まれてるし。
勝負だじゃねーよ。お前はポケモントレーナーか。
それを聞いたぴあかな君は
「わ!すごい!ここが日本なんだ!日本って小さいな!これ北海道だよ!知ってた!?ねえ?知ってた!?」
なんとか煙に巻こうとしますが、ヒサの追撃は止まりません。
「僕が選んであげるよ。サウジアラビアなんていいんじゃない?」
こいつアホです。ぴあかな君の画力を知っているのに。
こんな難易度の高い国旗描ける筈がありません。
去年までカービィとかビリリダマとか描いてたぴあかな君がたった1年後にこんな国旗描いてきたら、全校職員児童から親の介入が疑われます。
「いや…これは難しすぎるよ」
「そう?じゃあこれは?」
ヒサよ…。もう僕は負けで良い。
なんか文字まで入っちゃってるし。
ちなみにブラジル国旗というのは世界で唯一青い天体(地球)が描かれた国旗だそうです。豆知識。
そんな事はどうでもいい。
ぴあかな君は尻尾を巻いて逃げました。
家に帰って、父親に相談。
父親は僕の画力を知ってか知らずか
「白紙を活かした簡単な国旗を描けばいいじゃないか。ピアノやってるんだから有名作曲家の国なんかでいいんじゃない?」と提案。
きっと宿題を手伝う羽目になるだろうから自分も極力手の抜ける提案をしたって寸法ですね。
再度地図帳を開きヨーロッパのページを見てみます。
そしたらヨーロッパの国旗というのはまあこれがシンプルなものが多くてですね。
簡単に描けるものが目白押しです。
その中でも特に簡単なものを2つ選びました。
さてぴあかな君の選んだ2カ国はどこでしょうか。
記事を下にスクロールする前にお考え下さい。
少し面倒くさがりながらも、クーピーを手にして描く事十数分。
あっという間に2カ国の国旗が完成しました。
なんだこんな簡単なら嫌がる事もなかったなと達成感も何もなかったんですが、上出来です。
答えはピアノの詩人ショパンを生んだポーランド
そして北欧フィンランド
ポーランドはまだショパンが好きだからと言えば説明がつきますが、フィンランドはただ白面積が多いから、としか弁明できません。
シベリウスなんて渋い作曲家を小学3年生が知る由もありません。
定規で線を引いて少し青と赤で塗ればあら簡単。
白紙部分も存分に有効活用した戦略勝ちです。さすが軍師父親。
「なんかせっかくなんだからもう少し手の込んだことやれば良いのに」と母親に鼻で笑われましたが、そんな事はどこ吹く風。
それでも不器用なぴあかな君の事だから、直線が歪んだりしていたんでしょうが、クオリティはともかく、自分で出来たという達成感は子どもを大きく成長させます。
そして課題の提出日。
割と宿題忘れる組に属していたヒサもこの日は、堂々の登校です。
相当自信があったのか、クラスメイトに自慢げに見せていました。
やはり彼、デキます。
彼が描いてきたのは
スペインとスリランカ
そりゃあ所詮小学3年生が描いたクオリティと言ってしまえばそれまでなんですが、クラスの中では群を抜いて目立っていました。
「うおー!さすがヒサ!」
「すげーなー!」
といった歓声が教室の至る所から湧き起こります。
その後も、器用な女子とかが描いた白紙部分の少ない国旗にクラスの注目が集まります。
その内、白紙部分が少ない=高得点みたいな訳わからん風潮が生まれます。
おやおや、雲行きが怪しくなってきたぞと、ぴあかな君は自分の描いた絵を隠していました。
そこにいつも何かと因縁をつけてくる菅野君が僕の前に来て
「ぴあかな、お前どんなの描いてきたん?見せて見せて」
こいつの魂胆は見え透いています。
自分も絵が大して上手くないのに、更に絵が下手なぴあかな君をいじって優越感に浸ろうという奴です。
話のオチはわかっているけど見せないとそれはそれでまたグチグチ言ってくるので、渋々課題を見せました。
「えー!これだけ?ずるいなあ!」
「ずるいってなんやねんこのジャガイモ頭。自分だって大して変わらんやろ。」
と、声を大にして言いたかったのですが、そういう事が言える子じゃなかったからいじられちゃったんですね。今も思ったこと中々言えないけど。
そしたらここに救世主が現れました。
「え?ぴあかな君のがずるかったら僕もずるになるの?」
そう言って間に割って入ってきたのは浦本君でした。
彼は文武両道の優等生。
普段から手抜きや自分への甘えを許さない子でした。
そして彼が描いてきた国旗は
さすがです。
そうきたか。
ちょっとマジで天才だと思いました。
「いや…別に浦ちゃんはずるじゃねえけど…」
優等生を前にたじたじになる菅野君。
「じゃあぴあかな君もずるじゃないでしょ。僕と同じ感じなんだから」
ここにポーランド同盟が誕生しました。
菅野君を撃退した浦本君。
ひとりの戦友を得た僕は
「ありがとう浦ちゃん。浦ちゃんもこんな面倒くさい宿題さっさと終わらして遊びたかったんだよね!」共感を得ようとした処、
「いや、早く終わらせて他の勉強をしたかった」
これが人の格差というやつです。
早くもポーランド同盟に亀裂が生じます。
しかしまあこれがきっかけかどうかは微妙ですが、浦ちゃんとの交友関係は結構深く、長く続き、お互いの家を行き来したり、お互い大学に進学してからも暫くは連絡を取り合ったりしていました。
運動会当日は、皆で「自分の描いた国旗を見つけようゲーム」が流行ります。
意外や意外、ポーランドとフィンランドを描いたぴあかな君の絵は白が多いのが逆に意外と目立ち少し話題になりました。
ぐちゃぐちゃとした細かい柄を描くより、シンプルな方が見やすい。
掲揚する機会の多い国旗というものは、案外そういうデザインの方がいいのかなと幼いながらに思いました。
僕の近くには浦ちゃんのポーランドとモナコの国旗がありました。
やはりシンプルなので目立ちます。
僕と浦ちゃんが自分たちの国旗を見上げていると浦ちゃんが
「来年はインドネシアとナイジェリアにするよ。」
彼はきっと今も器用に社会の荒波を乗り越えているでしょう。
まあ僕もその後もフランスとかイタリアとか簡単なのしか描かなかったですけど。
だって早く終わらせて勉強がしたかったから……